9月1日。
この日に身構えてしまうのは、最早職業病と言ってもいいかもしれない。
静かさばかりが耳をつく教室でひとり、新学期の準備をしている。
7月の終わり。
「よく頑張ったね」「夏休みも元気でね」
ーありふれた言葉とともに、通知表を手渡した。心からの本心だった。
「先生、宿題多くない?」「文句を言ったら増えますよ」「えー!」
ー予定調和のふざけ合いが、その日はやけに心地よかった。
「先生、さよーなら!」
ーまるで明日も学校に来るみたいな呆気なさで彼ら彼女らは約40日間の夏休みに入っていった。
そして、9月1日がやって来る。
学校は始まるのだろうか?始まったとて、この時期この状況で、学校は安全で安心な場所であれるのだろうか?あの子たちは元気に登校して来てくれるだろうか?宿題は終わっただろうか?
どうか、何事も起きませんように。
どうか、あの子たちに平穏な日々を。
そう願ってやまない。