今はまだ、

教員5年目/Twitter(https://mobile.twitter.com/ikedamis0n0)

アンカーとして走り出す鈍色の教師のバトン握りしめつつ

帰り間際に電話がかかってきた。

全てが一気にどうでも良くなった。

家に帰って、缶チューハイを2本空けた勢いでこれを書いている。

 

 

顧問をしている部活の1年生・Aの保護者からだった。

曰く、「娘がすごく落ち込んで帰ってきて、『先生からの信頼を失った』って言うんですけど何があったんですか?」、と。

 

今日、確かにAを指導した。

 

Aが部内の友達Bに対し、「きもい」「あっち行って」とか言ったらしい。

まあ、中学生ならこのぐらいのこと日常茶飯事だ。

今回は言われた方のBから訴えがあったので、Aに話を聞くことにした。

まあ軽く「そんな言葉使ったらいけないよ〜」ぐらいで済む、そんなイージーな案件。

 

だったはずなのに。

「Bとなんかあったの?」と聞いた途端、黙り込むA。

「何かあったんじゃないの?先生、心配してるんだけど」と付け加えた私に、Aはやっと口を開いた。

「先生、その件はもう謝ってお互いに終わった話です」

「え?」

おかしいなと思いながら、Aを練習に戻し、訴えてきたBに話を聞く。

「Aはもう謝った、もう終わった話って言ってるんだけど、謝ってもらったの?」

「えっ?私、まだ謝ってもらってません!」

その時点で、ええ……まじかよぉ、と思いながら練習後、AとBを呼び止めて話をする。

Aはやっぱり、Bには謝っていなかった。

Aを理論的に問い詰めてもしょうがないので、感情に訴えかけるつもりで諭すように話した。

これは、あなたと先生との間の信頼関係に関わることだ。あなたのことを信頼しているから、なんでも正直に話してほしかった。だから今回のことは残念だなと思った。これから部活を続けていく上で、先生もちゃんと聞くから、なんでも思うことは話してほしい。

まあ、こんな感じだったかな。

 

Aは俯いたまま、うんともすんとも言わなかった。

これは納得してないな、と思いながも完全下校の時間がやってきていたので2人を帰した。

 

そして、冒頭のAの母親の電話である。

 

何かあったって言われても、正直に事の顛末を話すしかない。

私の説明を聞いてなお、Aの母親は謝りもしなかった。

いや、謝ってほしいわけじゃないけど。

でも普通、自分の娘が悪口言ったとか聞いたら「ウチの娘がすみません」とか形だけでも言わんか?

 

 

正面から向き合った、つもりだった。

言葉を尽くした、つもりだった。

でも、伝わらなかったなら仕方がない、のだろうか。

Aはそうやってこれから生きていくのだろうか。

私はこうやってこれから教師を続けていくのだろうか。

真面目にやればやるほど馬鹿を見る、ということなのだろうか。

 

思考の海に潜って潜って、今回の一件を何度も振り返る。

正解が、わからない。

 

一つ確かに言えるのは、「学校の先生になろうと思っている人は全力でやめた方がいいですよ」ってことだけだ。

こんな仕事、未来がないよ。