「のっぴきならねえなぁ」
思わず口をついて出た言葉に、クラスの子供たちが反応した。
「のっぴき?」
「のっぴきって何?」
「え、何?ろっぴき?6匹?」
「6匹じゃないよ、『のっぴき』……どうにもならない、みたいな意味かなぁ」
へえ、と子供たちが笑った。
言葉の響きに意識を取られて、意味の方はどうやら聞き逃してくれたみたいだった。
のっぴきならない。
追い詰められている。
ここが限界だと思う。
絶望的な朝を何度迎えればいいんだろう。
周囲の視線に耐えられない。
それでも、運動会までは。
取りあえず、運動会までは。
のっぴきならんくても、歩いていかなければ。