いやなことがあった。
クラスの子どもはかわいい。でも、それ以上に、自分の不甲斐なさに腹が立つ。
今の職員室の雰囲気は悪くない。でも、それだけに、自分の実力不足に打ちのめされる。
いやなことがあった。
どうしようにもなく、自分のせいでしかなかった。
やらなければいけない仕事はあったけれど、逃げるように17時に退勤した。
早く帰るのは、嫌いだ。
きっと後ろ指を指されている。きっと陰口を叩かれている。そんな気がする。
被害妄想だと分かっている。でも、自分では走り出した思考を止められない。
いやなことがあった。
当分止めていた煙草が吸いたくなった。
帰りに寄ったショッピングモールのコメダ珈琲が完全禁煙になっていた。
喫煙室を探すと、広いフロアーの隅の隅にあった。
その薄暗さが、ありがたいと思った。
いやなことがあった。
こんな日は、真っ直ぐ家に帰るべきではないと経験則で知っている。
小学生の頃から、道草は得意だった。
ぽつぽつと思考が浮かんでは沈む。
沈み切って、消えるまで、たらたらと家路を辿るのだ。
いやなことがあった。
完全禁煙のコメダ珈琲でこれを書いている。
まだ、家には帰れそうもない。